PowerShot G1 X Mark 3 レビュー (EOS M5、EOS M6とのスペック比較あり)

PowerShot_G1_X_Mark_III_01 カメラ・写真

発売日当日、PowerShot G1 X Mark IIIの製品実機に触れて来ました。

前機種のMarkⅡからの大きな変更点はいくつかありますが、センサーサイズの変更がポイントだと思います。

これまで1.5型であったセンサーが、PowerShot G1 X Mark 3ではAPS-Cと大型になりました。

コンデジでありながら、一眼レフやミラーレスカメラと同じセンサーサイズに進化。センサーサイズは画質などを決める重要な要因となります。

APS-Cセンサーを搭載した機種の中で、形状や大きさが近いEOS M5やM6と比較検討する方も多いのではないでしょうか?

ここでは、キヤノンのAPS-Cセンサー機種(特にEOS M5、EOS M6)とのスペック比較、PowerShot G1 X Mark 3 のレビュー(撮影データ含む)を紹介します。撮影データでは、ボケ、解像度、高感度耐性の検証もしました。

なお、この記事に登場する焦点距離は、全て35mm換算で記載しています。

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キヤノン APS-Cセンサー搭載機種

2017年11月1日時点で販売されているAPS-Cセンサー搭載機種は、以下の通りです。

■キヤノン APS-Cセンサー搭載機種

種別 モデル 画素数 デュアル
ピクセル
一眼レフ 7D Mark II 2020万 あり
80D 2420万 あり
9000D 2420万 あり
Kiss X9i 2420万 あり
Kiss X9 2420万 あり
Kiss X8i 2420万 なし
Kiss X7 1800万 なし
Kiss X80 1800万 なし
ミラーレス M5 2420万 あり
M6 2420万 あり
M100 2420万 あり
M10 2420万 なし
コンデジ G1 X Mark III 2420万 あり

デュアルピクセルとは、ライブビュー撮影時に高速でAFできる機能と考えてください。

表のとおり、PowerShot G1 X Mark 3は一眼レフやミラーレスと同じセンサーを搭載しています。

画素数だけで見ると、APS-C最上位機種の7D Mark IIを越えています。コンデジとしては、相当高スペックなセンサーであると言えます。

(もちろん、画素数が高ければ絶対に良いわけではありませんが)

APS-C搭載機種の中でも、EOS M5やM6(ミラーレス)は、サイズがPowerShot G1 X Mark 3に近いです。

操作系もPowerShot G1 X Mark 3とM5、M6が近いですね。M100とM10は、ボタンの数が少なく、操作性はだいぶ劣ります。

PowerShot G1 X Mark 3とEOS M5、M6の比較

サイズや操作系が近い、PowerShot G1 X Mark 3とEOS M5、M6を比較します。

キヤノンのホームページ上で、一眼レフとミラーレスは簡単に比較表を作ることができるのですが、コンデジも含めた比較表が作れません。

そのため、主な項目について、以下のようにまとめてみました。

M5 M6 G1 X
Mark 3
センサー
サイズ
APS-C APS-C APS-C
画素数 2420万 2420万 2420万
映像
エンジン
DIGIC7 DIGIC7 DIGIC7
焦点距離
(35mm換算)
24mm-72mm
光学
ズーム倍率
3倍
撮影距離
F値 F2.8-F16(W)

F5.6-F16(T)

SS
(最大)
1/4000 1/4000 1/2000
ISO 100~25600 100~25600 100~25600
測距点 最大49点 最大49点 最大49点
連続撮影 ワンショットAF時:9.0コマ/秒

サーボAF時:7.0コマ/秒

ワンショットAF時:9.0コマ/秒

サーボAF時:7.0コマ/秒

ワンショットAF時:9.0コマ/秒

サーボAF時:7.0コマ/秒

ファインダー あり なし あり
液晶 162万ドット
チルト(下方のみ)
104万ドット
(チルト)
104万ドット
(バリアングル)
防塵防滴 あり
NDフィルター 減光3段分
記録媒体 SD/SDHC/SDXC SD/SDHC/SDXC SD/SDHC/SDXC
wifi 対応 対応 対応
大きさ 115.6mm(幅)

89.2mm(高さ)

60..mm(奥)

112.0mm(幅)

68.0mm(高さ)

44.5mm(奥)

115.0mm(幅)

77.9mm(高さ)

51.4mm(奥)

質量 427g 390g 399g

※記録媒体は、いずれもUHS-Ⅰカード対応
※質量はバッテリー、メモリーカードを含む

僕がEOS M5やM6と比較した時に、PowerShot G1 X Mark 3で注目したのは3点です。

  • F値
  • SS(シャッタースピード)
  • 質量
  • 防塵防滴

開放F値はF2.8です。焦点距離24mmでF2.8だと、ほとんどぼけません。前機種では開放でF2でしたので、スペックダウンです。

シャッタースピードについては、1/2000になっています。人によっては、被写体の動きを止められない場合があるかと思います。

一般的にはシャッタースピードが遅いと、日中の屋外では露出オーバーになるかと思いますが、この問題はNDフィルター(3段分)で回避できそうですね。

質量については、M5とM6はレンズの重さが加わることになります。そう考えると、PowerShot G1 X Mark 3は非常に軽いですね。

僕は子供の撮影をメインにしていますが、その場合、防塵防滴は必須だと考えています。子供が水辺で遊んでいる場面を撮影しようとすると、結構水しぶきが飛んできます。砂を蹴散らせたりすることもあるので、防塵防滴だと安心です。

スペックの数値上は以上のように思いました。

PowerShot G1 X Mark 3 実機レビュー

PowerShot_G1_X_Mark_III_01
作例と言えるものではないですが、実際の撮影データを紹介しながら、感じた点などをレビューします。

焦点距離と開放F値の関係

背景をぼかして撮影することが多いので、焦点距離(ワイドとズームの間)と開放F値の関係が最も気になっていました。

ステップズームによって、焦点距離ごとの開放F値を調べたところ、結果は以下の通りです。

  • 24mm:F2.8
  • 28mm:F3.2
  • 35mm:F4
  • 50mm:F5
  • 72mm:F5.6

この焦点距離は、35mm換算です。

本当は焦点距離をもっと細かく刻んでF値を見たかったんです。

でも、PowerShot G1 X Mark 3はプレビュー画面で焦点距離が表示されないので、ステップズームで選べる焦点距離しか検証できませんでした。

上記の数値を見た時点で分かっていましたが、やっぱりほとんどぼけません。個人的には、50mmで、せめてF4くらいだったら良かったのですが。

僕は、通常は5D MarkⅣで50mmのF1.2~F2を常用しているのですが、単焦点レンズを使って開放付近で撮影することが多い方は、だいぶ物足りないと思います。

ズーム比が小さくても良いので、開放F値を下げて欲しかったです。

ボケ表現

以下にPowerShot G1 X Mark 3で撮影したデータを載せます。24mm(広角)と72mm(望遠)で試してみました。

■24mm(広角)

ピントは値札の「66,390円」に合わせています。解像度チェックではないので、画質を落としています。

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_bokeh_F2.8_01
24mm,F2.8

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_bokeh_F4_01
24mm,F4

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_bokeh_F5.6_01
24mm,F5.6

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_bokeh_F8_01
24mm,F8

広角でF2.8以上はボケを楽しむのは難しいかもしれません。

■72mm(望遠)

ピントは、1枚目の画像が値札の「46,000円」に、2枚目の画像は黄色い看板上の「選びのポイント」に合わせています。解像度チェックではないので、画質を落としています。


72mm,F5.6

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_bokeh_F5.6_02
72mm,F5.6

望遠については、寄ってとればまあまあボケますね。

ただ、ポートレートや子供を撮影する時に、全身を入れながらボカすことは難しそうです。

解像度

実際に撮影したデータを載せます。ピントを合わせた箇所は、左上の「液晶保護シール」と書いてある下の「LDC Protection Film」の文字です。

コンデジでこの解像度は、すごく良いと思います。

■24mm(広角)

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_F2.8_01
まずは24mmです。この画像は、まずどの位置を撮影しているか分かるようにしたいので、画質を落としています。

以下、画質は変えずに、ピントを合わせた場所をトリミングします。

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_F2.8_zoom_01
24mm、F2.8 トリミング

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_F4_zoom_01
24mm、F4 トリミング

PowerShot_G1_X_Mark_III_24mm_F5.6_zoom_01
24mm、F5.6 トリミング


24mm、F8 トリミング

■72mm(望遠)

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F2.8_01
次は72mmです。ピント箇所は24mmと同じです。全体像把握を目的にしているため、画質は落としています。

以下、画質は変えずに、ピントを合わせた場所を拡大します。

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_zoom_01
72mm、F5.6 トリミング

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F8_zoom_01
72mm、F8 トリミング

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F11_zoom_01
72mm、F11 トリミング

高感度耐性

ピントを合わせた箇所は、エアコンの下にぴょこんと飛び出した棒です。

比較する上では問題がないことを確認した上で、トリミングだけではなく、画質も落としています。

■72mm

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_iso800_01
この画像は、撮影した画像の全体像です。特にノイズが分かりやすそうな箇所をトリミングしたものを以下に載せます。

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_iso400_zoom_01
72mm、F5.6、ISO400

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_iso800_zoom_01
72mm、F5.6、ISO800

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_iso1600_zoom_01
72mm、F5.6、ISO1600

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_iso3200_zoom_01
72mm、F5.6、ISO3200

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_iso6400_zoom_01
72mm、F5.6、ISO6400

PowerShot_G1_X_Mark_III_72mm_F5.6_iso12800_zoom_01
72mm、F5.6、ISO12800


72mm、F5.6、ISO25600

僕はISO3200くらいから劣化を感じました。そして、ISO6400まで緩やかに劣化していき、ISO12800で急激に劣化しています。

撮影場面にもよりますが、おおむねISO3200くらいまでは普通に使えそうです。

AFの速さ・精度

静止画、動画の両方とも確認しました。

PowerShot G1 X Mark 3のデュアルピクセルAFの速さは、M5やM6と同じ体感速度です。何の問題もありません。

ピントの精度も良いと思います。

ダイヤルやボタンの操作性

■電子ダイヤル

人差し指で操作する電子ダイヤルについてですが、非常に滑らかです。クリック感もちゃんと残っているので、設定変更がしやすいです。

電子ダイヤルの場所も良いです。PowerShot G1 X Mark 3は、機体前面にあります。一方、M5やM6はシャッターボタンを囲む形で、配置されています。

M5やM6に比べて、PowerShot G1 X Mark 3のダイヤルは、若干距離が遠くなるわけですが、指を曲げずに回せます。M5やM6は、指の先を曲げないと回しにくかったので、ダイヤルはPowerShot G1 X Mark IIIの方が使いやすかったです。

PowerShot G1 X Mark 3は、ダイヤルとシャッターボタンとの距離も離れることになるのですが、シャッターを押す機動性については、体感としては変わらないです。

■コントローラーホイール

背面右下のコントローラーホイールの使い心地は、EOS M5やM6と変わらないです。

コントローラーホイールは、回すだけではなく、ボタンとしての機能もあります。ホイールを回した時に、ボタンを誤って押しそうになります。この点はマイナスです。

ただ、これはPowerShot G1 X Mark 3だけではなく、EOS M5やM6も同じです。

■露出補正ダイヤル

これもとても滑らかで回しやすいです。僕はM6を持っているのですが、あの露出補正は少し使いにくいので、PowerShot G1 X Mark 3やM5のタイプが良いですね。

露出補正ダイヤルを回す時に、動画ボタンを押してしまわないか心配でしたが、全く問題ありませんでした。

■スムーズリング

スムーズリング(レンズの周囲を囲むリング)もスムーズに動きます。

カスタマイズ

■シャッター/AEロック

PowerShot_G1_X_Mark_III_02
PowerShot_G1_X_Mark_III_03
ざっくり言うと、AFかAE機能しか割り当てられません。AEロックボタンについては、別の機能が割り当てられたら便利なので、ちょっと残念です。

■ダイヤル/ホイール

PowerShot_G1_X_Mark_III_04
PowerShot_G1_X_Mark_III_05
AVモード(絞り優先)の場合の初期設定の状態です。コントローラーホイールは「-」になっていて、何の機能も割り当てられていません。

PowerShot_G1_X_Mark_III_06
僕はM6を使う時もそうですが、ISOを割り当てています。

■動画ボタン

PowerShot_G1_X_Mark_III_07
PowerShot_G1_X_Mark_III_08
ここにはいろいろと割り当てられて、便利です。

■AFフレーム選択ボタン

PowerShot_G1_X_Mark_III_09
PowerShot_G1_X_Mark_III_10
ここもいろいろ割り当てられるので、便利そうです。

一眼レフカメラ以外の場合、ボタンだけでAFフレームを選ぶより、タッチフォーカスを使うと思います。

そのため、AFフレーム選択ボタンは、別の機能を割り当てた方が絶対に良さそうです。

ファインダー撮影時については、液晶画面をドラッグすれば、ファインダー内のAFフレームを動かせます。そのため、やはりAFフレーム選択の機能をボタンに割り当てておく必要はないです。

重さ・質感

APC-Cのセンサーを載せているにも関わらず、PowerShot G1 X Mark 3は体感でも相当軽いです。

質感もなかなか良いです。見た目は安っぽく感じませんでした。

個人的には、多少重くなっても、もう少し金属っぽく、ずっしりした感じの方が好みではあります。

シャッターフィーリング

M5やM6って、「カシャ」って音がするんですよね。でも、PowerShot G1 X Mark 3のシャッターボタンはそんなに音が鳴りません。

押し心地も少し軽くて、良い感じでした。

まとめ

僕は、5D MarkⅣをメインに、M6をたまに使用しています。

M6を選んだ理由は、フルサイズのサブとして、APS-Cセンサーで、かつコンパクトであるということを条件にしていたからです。

M6が出る前にPowerShot G1 X Mark 3があったら、かなり迷ったかもしれません。(開放F値が高いのは気になりますが・・・)

普段、フルサイズを使う機会が多くて、たまに使うサブ機が欲しい場合、PowerShot G1 X Mark 3はぴったりだと思います。

コンデジサイズでAPS-Cセンサーというのは、究極のサブ機ではないでしょうか?

PowerShot G1 X Mark 3だけをメインにできるか?というと、できると思います。

実は、試作機を使った時は撮影データがなかったので、開放F値の高さとコンデジでは動体が撮影しにくいという理由で、なしだと思いました。

でも、実際の撮影データを見て、コンデジでここまで解像度が高くて、高感度も使えるカメラはなかなか無いと思いました。

操作性やフィーリングなどを含めて、利用目的によってはPowerShot G1 X Mark 3だけでも問題ないと考え直しました。

※参考記事
EOS Kiss M 実機レビュー:M5、M6、M100との比較、一眼レフカメラとの違い
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