EF50mm F1.8 STMというレンズ。キヤノンの一眼レフカメラを持っている多くの人が、ご存知ではないでしょうか。
EF50mm F1.8 STMは、通称「撒き餌」レンズ。安いのに、一眼レフカメラらしい背景をボカした写真が簡単に撮影できます。
この記事では、僕がEF50mm F1.8 STMを購入した理由、実際に撮影して感じたことを作例(画像)付きでレビューします。良いことだけでなく、悪い点も紹介します。
EF50mm F1.8 STMを検討する人、EF50mm F1.8 STMが気になっている人の参考になれば嬉しいです。
EF50mm F1.8 STMのスペック・仕様
EF50mm F1.8 STMの主な仕様・スペックは以下の通りです。
EF50mm F1.8 STM | |
メーカー | キヤノン |
開放F値 | F1.8 |
最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | 0.35m |
最大撮影倍率 | 0.21倍 |
絞り羽根枚数 | 7枚 |
重さ | 160g |
防塵防滴 | なし |
手ぶれ補正 | なし |
フルタイム マニュアル |
対応 |
フィルター径 | 49mm |
最大径×長さ | φ69.2 × 39.3mm |
レンズ構成 | 5群 6枚 |
※参考:最大撮影倍率とは|計算方法と最短撮影距離・焦点距離との関係
EF50mm F1.8 STMの購入理由
僕は、APS-CのEOS 70DからフルサイズのEOS 5D MarkIIIへ買い替えました。
EOS 5D MarkIIIへ買い替えた当時、本命レンズの候補は決まっていたのですが、どれを購入するかを検討していました。
じっくり検討していたら時間がかかりそうだったので、「とりあえず、安くフルサイズ用のレンズが買いたい」との思いからEF50mm F1.8 STMを購入。
わりと適当に購入したわけですが、特に重視した理由は下記の通りです。
開放F値がF1.8
せっかくのフルサイズだし、ボケが大きい方が面白いかもと考えたので、開放F値がF1.8であることに、まず目がいきました。
50mmの焦点距離
EF50mm F1.8 STMを購入する前から、EF70-200mm F2.8L IS II USMを所有していました。そのため、ボケだけを見れば、既に希望は満たしていました。200mmでF2.8にすれば、強烈にボケますので。
でも、もう少し撮影距離を短くして、ボケも大きくしたいと考えたので、開放F1.8であるだけでなく、50mmの焦点距離が丁度良いと判断しました。
屋外での人物撮影だけなら85mmでも良いのですが、室内での使いやすさも重視し、焦点距離は50mmに決めました。
価格の安さ
「安いし、失敗してもまあ良いや」という気持ちでした。安いなりの何かはあるとは思いましたが、安いから何かあっても良いやと。EFレンズ最安です。
EF50mm F1.8 STM レビュー(性能別)・作例
実際に使ってみてどう感じたかをレビューします。作例と呼べるものでもないですが、撮影した画像も少し紹介します。
フルサイズカメラ(EOS 5D MarkIV)で使用した感想です。
ぼけの雰囲気
購入理由でボケの大きさを挙げました。開放F値のF1.8で撮影すると、確かにぼかしやすいです。
ただ、個人的には、EF50mm F1.8 STMで撮影した画像については、ぼけ方に気になる点があります。
この画像は、EF50mm F1.8 STMを開放F1.8にして撮影した画像です。ご覧になっていかがですか?特に気になる点がない場合は、それで問題ありません。
僕は、ぼけで気になるところがあります。背景にある円形のボケを見てください。円の回りに縁取りができています。見た目がうるさくないでしょうか?
上記画像のボケ部分の拡大
ボケの効果として、背景を整理して、被写体を浮き上がらせることが挙げられます。ただ、ボケがざわついていると、ぼけが気になってしまいます。上の画像だと、妖怪の目のような気が・・・。
カメラから被写体までの距離、被写体から背景までの距離によっては、もっとボケが大きくなり、縁取りが大きくなって、目立つ場合もあります。
よって、EF50mm F1.8 STMはボケは大きくなりますが、きれいなボケにはなりにくい印象です。
オートフォーカス性能(AF)
ファインダーのAFフレームでピントが合わないことがあります。明るい屋外でもピントが合わないことがありますので、たまにイラっとすることも。
例えば、この画像。屋外で、明るさ、光の向きなど、特に撮影しにくい場面ではありません。ところが、右側の一番長いひと房にピントが合いませんでした。何度やってもダメ。
この画像は画質を落としているので分かりにくいのですが、奥にピントがあってしまいました。
また、ライブビュー撮影時には、サーボの食い付きが少し悪いです。動く人(子供)に対して、顔+追尾モードでオートフォーカスすると、AFフレームの追従が子供の動きより遅れることがあります。
「ここ一番」っていう時に、EF50mm F1.8 STMだけしかないと、ちょっと心配です。
周辺光量落ち
周辺光量落ちは大きいです。周辺光量落ちは、画像の中心の回りが、暗くなる現象です。
どのレンズでも、絞りを開く(F値が小さい)ほど、暗くなります。どれだけ暗くなるかはレンズの性能次第。暗くならない方が、スペックが高いと言えます。
EF50mm F1.8 STMは、周辺光量落ちが大きいです。
F1.8
F2
F2.8
F4
F値をF4まで上げて、やっと暗いのがなくなりました。
周辺光量落ちについては、スペックが低いと言えそうですが、僕はEF50mm F1.8 STMに限らず、周辺光量落ちの雰囲気が好きです。
駆動音
EF50mm F1.8 STMのモーターは、STM。USMのレンズと比べれば静かです。でも、EF50mm F1.8 STMでも音はします。
うるさいほどでもないですが、「ウィーン」って感じの音がしますね。静かな場所で動画をとると、駆動音も録音されます。
音が気になる場合は、外部マイクを装着する必要があります。
USMのレンズよりはましな気はしますが、動画を重視する場合は、ナノUSMのレンズでないとダメですね。
解像度
絞り開放での解像度は、まあまあです。開放F1.8で撮影すると、ピント面が甘い時があります。
ピント調整の修理に出せば改善するかもしれませんが、EF50mm F1.8 STMは安さも魅力なので、修理代を加味するとあまりコスパが良くないです。
暗所性能
暗所だからと言って、極端に性能が低くなることはないです。
クローゼットに置いてあるモノを撮影してみました。「CORONA」にAFフレームを合わせて撮影しましたが、きちんとピントが合っています。F値は1.8です。
色収差
絞りをF2以下にすると、明暗差がある被写体にはパープルフリンジという紫色のにじみがでます。
この画像はF1.8で撮影しました。ピントは「ケヤキ」に合わせています。
「ケヤキ」部分を拡大した画像です。白い文字の回りが紫色になっています。
カメラの背面液晶で画像を見ても気付く場合がありますので、色収差は大きい方だと思います。
DPP(キヤノン純正の無料画像編集ソフト)である程度は補正できる場合もあります。
操作性
ピントリングが緩めです。もう少しキツめの方が、操作しやすかったかなと。
また、EF50mm F1.8 STMには、距離の指標がないです。多くのレンズには、ピントリングをどれくらい回すと、何センチ先にピントが合うか分かるように、メモリがついています。
でも、EF50mm F1.8 STMにはメモリがないため、何センチまたは何メートルくらい先にピントが合っているのかが、パット見では分かりません。
こちらは違うレンズですが、多くのレンズには窓のようなものが付いています。
マニュアルフォーカスをする際に、メモリがないまま、ファインダーやライブビューでピント合わせをする人にとっては、ちょっと面倒。
そのため、EF50mm F1.8 STMでマニュアルフォーカスをする場合は、フルタイムマニュアルで行う方が良いです。
収納性
軽くて小さいので、持ち運びは楽ですし、カバンのスペースもあまりとりません。
ひとつ問題としては、レンズの筒部分が、カメラの機種によっては、自動的にレンズ内部に収容されません。
いちいちピントリングを回して、レンズの筒部分を引っ込めないといけません。
先端が引っ込んでいる状態
先端が出ている状態
先端が出たままだと、バッグの中で先端に力がかかり、故障するのではないかと心配です。
また、カメラの電源を入れないと、ピントリングを回しても、ピント調整できません。よって、電源を切った後にレンズ先端部を引っ込めようとした場合、もう一回カメラの電源を入れる必要があります。
カメラが最新の機種なら問題ないと思いますが、EOS 5D MarkⅢでは上記問題が発生しました。5D MarkⅣでは解決されています。
外観・質感など
EF50mm F1.8 STMだけを手に取って見ると、プラスチック感があって安っぽいのですが、カメラに装着した状態で第三者目線で見ると、そんなに安っぽく見えません。
EF50mm F1.8 STMとカメラとの装着については、スムーズです。ガタつきなどの問題は全くないです。使用する観点では、何も問題なし。
EF50mm F1.8 STM レビュー(被写体別)
上記のスペック・仕様やレビュー(性能別)も踏まえて、主な被写体別に、EF50mm F1.8 STMの使い勝手などを紹介します。
こちらも、フルサイズカメラ(EOS 5D MarkIV)で使用した感想です。
ポートレート(大人)
使いやすいです。
ただ、全身を入れようとすると、撮影距離を空けないといけません。撮影距離を延ばすと、ボケが小さくなります。
大きなボケを表現として使いたい人は、85mm以上の方が合っている気がします。
ポートレート(子供)
止まっている子供であれば、大人よりは撮影しやすい焦点距離です。
子供は身長が低いので、全身を撮影するにしても、そこそこ近くまで寄れます。結果、背景を大きくボカしたい場合、ボカしやすいです。
スポーツではなく、歩くくらいの速度であれば、十分対応できます。ただ、もっと動きが速くなると、オートフォーカスが追従しにくい場合もあります。
テーブルフォト(食事、デザート、人物など)
最近は、インスタ映えする写真を撮るために、一眼を買う人が多いみたいですね。
テーブルの広さにもよりますが、フルサイズカメラを使うならば、EF50mm F1.8 STMは使いやすいです。
食べ物とかを真上からではなく、横から撮影して、お皿をぼかしたりもしやすいです。
スペック・仕様やレビュー(性能別)でボケがきれいでないと書きましたが、テーブルフォトならば点光源が思いっきり背景に入ることは少ないので、きれいにボカせます。
旅行
どんな場所に行くかにもよりますが、EF50mm F1.8 STMは旅行には使いにくいです。
まず、50mmは画角が狭いです。僕が考える旅行のイメージ。それは、スカイツリーから見る景色、金閣寺とか浅草寺とかの建造物、撮影可能な施設内の文化財、ダイヤモンドヘッドとハワイの海、ヨーロッパの街並み、その土地の美味しいものなどなど。
旅行の場合、必要な画角を予想しにくいので、ズームレンズか焦点距離が短い単焦点レンズの方が使いやすいです。僕は35mmの単焦点を使っています。
EF50mm F1.8 STMはサブレンズに最適
EF50mm F1.8 STMは、荷物を増やしたくない、荷物を軽くしたい人には最適です。
例えば、50mmよりももっと広角レンズ、または、望遠レンズをメインに使いたいけど、念のため標準レンズも持って行きたい時など。
EF50mm F1.8 STMなら、ポケットにも入ります。もちろん、EF50mm F1.8 STMだけ持って行くのもアリでしょう。
EF50mm F1.8 STMとセットで購入するモノ
EF50mm F1.8 STMを安心して、より効果的に使うためにおすすめのモノを紹介します。
プロテクトフィルター(49mm)
好みの問題ですが、僕はレンズを保護するために、フィルターを付けることをおすすめします。
フィルター無しの方が撮影結果がキレイと言われていますが、キズがつくリスクに見合う程は撮影結果に影響がないと考えます。
僕は購入した全てのレンズにプロテクトフィルターを付けています。EF50mm F1.8 STMに合うのは、49mmのフィルターです。
NDフィルター(49mm)
シャッタースピードが1/4000のカメラで、開放F1.8で撮影すると、晴天の屋外では露出オーバーとなる可能性があります。
NDフィルターがあれば、撮影される色味はそのまま、光量のみを減らすことが出来きます。
レンズクリーニング用のペン
フィルター付けっぱなしの人は、フィルター掃除用のペンがあればOKです。
僕は、フィルター、レンズ、ファインダーを掃除できるペンが3本あるお得なセットを買いました。
APS-CのカメラにはEF50mm F1.8 STM以外も追加を
APS-Cのカメラで使用する場合、焦点距離50mmは80mm相当になります。やや望遠レンズと同じくらい大きく写るため、室内だと使いにくいこともあります。
特に、テーブルフォトの場合は、写したいものがフレームに入りきらないです。立ち上がって、後退すれば撮影できますが、お店とかだと難しいですよね。
そのため、APS-Cのカメラには、標準ズームレンズか35mmくらいの単焦点レンズも持っておいた方が良いです。
まとめ
僕は他のレンズをメインに使っているため、EF50mm F1.8 STMの使用頻度は低いです。でも、買って良かったです。サブレンズとして、気軽に持ち出せるのが良いです。
ネガティブな感想も書きましたが、初めて一眼レフを使い始める人にとっては、あまり気にならないレベルだとも思います。
何と言っても、安いですから!気になったら買っておいて損はない、コスパが高いレンズです。フルサイズを持っている人は、何も考えず、とりあえず購入することをおすすめします。
一方、APS-Cのカメラのみを持っている場合は、利用シーンと50mmという画角が合えば、買いです。
レンズキットのレンズと比べると、F1.8に設定することで大きな背景ボケを生かして、「それっぽく」撮影できますよ。
※参考記事
・CANON EF50mm F1.2L USM レビュー|撮影者が成長できるレンズ
・CANON EF35mm F1.4L II USM レビュー|ポートレート、風景、モノ撮りなど、最高のオールマイティーレンズ
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