一眼レフカメラ用レンズの選び方とおすすめ(子供などの人物、スポーツ、風景 など)

lens-choise カメラ・写真

レンズの選び方って、最初は難しいですよね。

  • 初めて一眼レフカメラを購入する時、ボディとレンズがセットになっているレンズキットにしようか?
  • カメラとレンズを個別に買った方が良い?
  • 追加で購入するレンズは、何が良いか?

僕が初めて一眼レフカメラを購入した時は、ダブルレンズキットと単焦点レンズを購入しました。その後、大きな不満はありませんでしたが、違う選択もありだったと感じました。

レンズを選ぶ前に決めるべきこと、レンズのスペック(特徴や機能)で確認すべき点、撮影シーンごとにおすすめのレンズを紹介します。レンズの選び方に正解はありませんが、参考にしてもらえると嬉しいです。

この記事で登場する焦点距離は、特に断わりが無い場合はフルサイズ換算の値です。APS-C機種で同じ焦点距離で撮影したい場合は、記載の焦点距離に、ニコンなら1.5、キヤノンならば1.6で割り算してください。(APS-Cで約33mm≒フルサイズ50mm)

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レンズの選び方は目的や撮影条件で変わる

「〇〇(一眼レフカメラの機種)に合う、おすすめのレンズは何ですか?」という質問を目にします。

レンズによって特徴やスペックは様々ですが、何もかもを思い描いた通り撮影できるレンズはありません。

そんなレンズがあったとしても、多くの機能や特徴を盛り込むほど大型化していくので、持ち運びができないでしょうし、値段が高すぎて買えないと思います。

そこで、レンズを選ぶ時は、目的や撮影条件を決めておいて、それを実現できるレンズを選ぶ必要があります。

目的というのは、撮影した画像をどうやって見るか、見てもらうかです。例えば、インスタグラムやブログに使いたいとか、大きいモニターで鑑賞するとか、プリントするとかです。

撮影条件については、例えば以下のようなものがあります。

  • 被写体:子供、大人、風景、建造物など
  • 被写体の動き:速い動き、遅い動き、動きなし
  • 撮影場所:屋内(自宅、体育館など)、屋外(公園、グラウンドなど)
  • 撮影位置:撮影者が動ける、撮影者の位置が固定
  • 写真イメージ:ボケを取り入れた柔らかい雰囲気、キリっとシャープな描写、躍動感を表現など

求める目的や撮影条件の組み合わせが多くて、それぞれの組み合わせで最大の効果を発揮させたいとなると、多くのレンズが必要となる可能性があります。

僕としては、一つのレンズの使用頻度が低くなるのが嫌なので、目的や撮影条件を絞ったり、優先順位をつけて、レンズの本数が増え過ぎないように意識しています。

レンズのスペック(特徴や機能)

目的や撮影条件が決まったら、いよいよレンズ選びです。僕は最初、カタログなどに書いてある内容が理解できず、選び方がよく分かりませんでした。

レンズを選ぶ時に確認すべきスペック(特徴や機能)を紹介します。

焦点距離

焦点距離は24mmとか、50mmなど、〇〇mmで表されます。焦点距離によって、目の前の光景の中で、どの範囲を切り取れるが決まります。

この〇〇mmの数値が小さくなるほど広角といって、広い範囲を撮影することができます。

一方、〇〇mmの数値が大きくなるほど望遠といって、一部を大きく撮影することができます。普通のコンパクトデジカメでも、ズームして拡大ができますよね?あれは望遠で撮影していることになります。

広角、望遠の間を標準や中望遠と言ったりします。

何mmが広角や標準、標準や望遠の境目になるかは、各人の感じ方によって違ってきます。目安を挙げると、キヤノンの単焦点レンズでは以下のように区分されています。

  • 20mm以下:超広角
  • 24mm~35mm:広角
  • 40mm~100mm:標準&中望遠
  • 135mm~300mm:望遠
  • 400mm以上:超望遠

ズームレンズだと24mm~70mm、70mm~200mmのように、広角と標準、標準と望遠をまたぐレンズもよくあります。

各焦点距離ごとの見え方は、実際にレンズを付けて確認するしかありませんが、肉眼で見える範囲を焦点距離に置き換えた場合、35mm~50mmと考えて問題ないと思います。

焦点距離は切り取れる範囲を決めるだけでなく、被写体前後のボケ量を決定する要素でもあります。望遠になるほど、ボケ量が多くなります。

開放F値

F値はF1.4、F2、F2.8、F4などと表され、絞りの開き具合を示しています。

このF値は、レンズによって選択できる範囲が決まっています。選択できるF値の中で、一番小さいF値を開放F値と呼びます。

単焦点レンズの開放F値は一つだけ。ズームレンズは、焦点距離ごとに開放F値が決まっていますが、カタログ上は最も広角側と望遠側の開放F値が記載されています。

開放F値が重要な理由は、ボケ量が決まるからです。F1.4など、小さいF値にするほど、ボケが大きくなります。「背景を大きく、きれいにボカしたい」。これって、一眼レフカメラを買いたい理由として良く挙げられますよね。

F値が小さくて、かつ、焦点距離が望遠であれば、よりボケ量が多くなります。

開放F値は、ボケ量以外では、画像のきれいさに影響を及ぼします。同じ露出で撮影する場合、F値が小さいほど、ISO感度を下げられますので、暗い場所でキレイな写真が撮影しやすくなります。

F値やISO感度などの関係をまとめた記事もありますので、参考にしてみてください。

解像度

ピントが合った箇所が、しっかり写っているか、もやもやしていないかは、レンズによって変わってきます。レンズは中心部ほどきれいに、くっきり写りますが、周辺がどこまで解像するかもレンズによって違います。

解像度については、ショールームや家電量販店で試写したデータを持ち帰ってチェックしたり、口コミなどで判断するしかありません。基本的に、古いレンズでなければ、そんなに気になるポイントではないかとは思います。

MTF曲線というレンズの解像力などをグラフで示したものはありますが、はじめて選ぶ人はそれを見てもイメージがわかないと思います。

手ぶれ補正

カメラを手持ちで構えて撮影すると、多かれ少なかれ、必ず手ぶれが起こります。特に、焦点距離が望遠になるほど、また、シャッタースピードが遅いほど、手ぶれが起こりやすくなります。この手ぶれを打ち消す機能が手ぶれ補正です。

コンパクトデジカメやスマホで家の中や夜の屋外で撮影したら、写真がぶれた経験はありませんか?その理由の多くはシャッタースピードが足りないからですが、手ぶれ補正があると、ぶれがない写真を撮影しやすくなります。

もっとも、動く被写体を撮影する場合は、手ぶれ補正はあまり意味がありません。手ぶれ補正はカメラのぶれの影響を減らすものですが、被写体が動くことによるブレは抑えられません。

手ぶれ補正が必要かどうかは、被写体の動きの有無、撮影場所の明るさを念頭において、考える必要があります。

オートフォーカスの速さ

ファインダーや液晶画面で、フレーム(□)を合わせたところでシャッターボタンを半押しすると、ピントが合います。オートフォーカスの速さとは、シャッターボタンを半押ししてから、ピントが合うまでの時間です。

特に、動くものを撮影する時は、オートフォーカスの速さが重要になります。ピントが合うまでに時間がかかると、ピントが合う時には、被写体の状態が大きく変わっている可能性があり、自分が意図する場所にピントが合いません。

逆に、動かないものであれば、オートフォーカスが遅くても問題ないことも多いです。マニュアルフォーカスを使う方が良い時もあります。

オートフォーカスの速さについては、通常カタログなどには載っていません。新しいレンズであればそこまで気にする必要はない気はしますが、気になる場合はショールームや家電量販店で試写した方が良いです。

防塵防滴

水滴や砂ぼこりからレンズを守れる構造です。防塵防滴のレンズは、雨や雪が降っている時、砂のグラウンド、水辺などでも、安心して使うことができます。

ただ、水に浸したり、砂に埋めたりなど、極端なことをすると壊れます。

最短撮影距離

カメラが被写体の間には、多かれ少なかれ距離があります。カメラが被写体にピントを合わせることができる最も短い距離を最短撮影距離といいます。言い方を変えると、どれだけ被写体に寄って撮影が出来るかを示したものです。

下記の最大撮影倍率と関係しますが、最短撮影距離が短いほど被写体に寄れますので、被写体を大きく写すことができます。

最大撮影倍率

最大撮影倍率は、どれだけ被写体を大きく写せるかを示す指標です。0.25倍、1.0倍など「〇倍」と表され、通常は0から1の間の値になります。

1.0倍に近づくほど、被写体を大きく撮影できます。(1.0倍以上のレンズもありますが、滅多にないため、ここでは無視します。)

「〇倍」というのは、「センサーサイズ ÷ 被写体の大きさ」で計算します。

センサーサイズは、一眼レフカメラの場合、主にフルサイズセンサーとAPS-Cセンサーがあります。メーカーによって若干大きさに差異がありますが、だいたい以下のサイズになっています。

  • フルサイズセンサー:横36.0mm×縦24.0mm
  • APS-Cセンサー  :横22.3mm×縦14.9mm

もし、フルサイズセンサーのカメラで、ファインダーもしくは背面液晶を見ながら、定規を撮影したとします。定規を床において、カメラを真下に向ける格好です。

ファインダーや液晶画面の左端に定規の0mmを合わせながら、最短撮影距離で撮影します。

もし、最短撮影距離で0mmから36.0mmまでのメモリを入れて、定規にピントを合わせて撮影できれば、そのレンズの最大撮影倍率は1倍です。「センサーサイズ(36.0mm)÷被写体の大きさ(36.0mm)」の計算結果が1になるからです。

定規の0mmから72.0mmが入るところまでしか寄れない場合、そのレンズの最大撮影倍率は0.5倍となります。この場合、「センサーサイズ(36.0mm)÷被写体の大きさ(72.0mm)」の計算結果が0.5になります。

多くのレンズは、最大撮影倍率が0.2倍から0.3倍程度なので、0.5倍以上あればかなり大きく撮影できます。最大撮影倍率が大きいレンズをマクロレンズといい、1倍近くあります。

撮影シーンごとのレンズの選び方

ここでは場合分けしながら、撮影シーンごとにおすすめのレンズを紹介します。

僕はキヤノンのカメラを使っているので、キヤノンのレンズを紹介しますが、他社のカメラを使っている場合は、同等のスペックのレンズを選べばOKです。

子供撮影用レンズの選び方

手っ取り早いのはズームレンズです。日常のシーン(自宅や公園)を撮影する場合、標準ズームレンズといわれる、焦点距離24mm~105mmくらいのレンズが使いやすいです。撮影者が動かなくても、広角から望遠まで対応できます。

望遠側で撮影すれば、背景をボカしやすくもなります。

ただ、ズームレンズの場合は、開放F値がF4以上のものが多いです。せいぜいF2.8までしかF値を下げられません。

そのため、背景ぼけが小さかったり、室内で適正露出にしようとした場合にISO感度が上がって、画質が悪くなったりします。

そこで、単焦点レンズを1つ持つことをおすすめします。子供撮影には、焦点距離は35mmか50mmくらいで、開放F値はF2以下(出来ればF1.4)のレンズがおすすめです。

単焦点レンズはズームができないので不便と思う人もいるかもしれません。でも、運動会などのイベントでなければ、全く問題ないです。ズームの利便性を捨ててでも、F値の違いによる変化や表現の幅がある方が、撮影していて面白いです。

35mmか50mmのどちらか一つしか持って行けないと考えると、僕は50mmを選びます。

焦点距離が広角側になるほど、ゆがみや遠近感が強く出ます。例えば、顔が少し長細い人を撮影すると、より細長く写るなど・・・。

子供を撮影するとなると、出来るだけその時の姿や見た目のまま、写真に残したいと僕は考えます。そうすると、出来るだけ望遠側が良いのですが、利便性も加味すると50mmが良いかと。35mmも使いやすいですが、若干ゆがみが分かります。

また、35mmだと、赤ちゃんや小さい子供を撮影する場合、結構近づくことになります。物心ついていない子供は、カメラを触ってきたり、ぶつかってきたりします。あと、子供に近づくほど、撮影者自身が影を作ってしまい、撮影しにくいこともあります。

50mmならば、適度に離れることができますので、子供が触れてくることもないですし、撮影している自分が影を作ってしまうこともほとんどありません。

焦点距離が85mm以上になると、子供とだいぶ離れる必要があります。家の中で撮影する時には、使いにくいです。

外で撮影することを考えても、1歳前後くらいまでの子供だと特に、離れすぎるのは心配ですので、50mmがお勧めです。

■ズームレンズ

EF24-105mm F4L IS II USM(防塵防滴あり)

EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM(APS-C専用、防塵防滴なし)

■単焦点レンズ

EF35mm F2 IS USM(防塵防滴なし)

EF50mm F1.8 STM(防塵防滴なし)

EF50mm F1.4 USM(防塵防滴なし)

開放F値については、こだわりの世界ですが、僕はF1.4が好きです。F2とF1.4は一段違いますが、ボケの大きさは違ってきます。また、ISO感度によっては、F値を1段下げられるメリットが大きいと考えています。

特に室内で撮影する時は、フルサイズのISO12800とISO6400、APS-CでISO6400とISO3200の画質は、結構違います。

また、防塵防滴まで対応していると安心感があります。2018年1月22日(月)に東京で珍しくかなり雪が降りました。ここぞとばかり、カメラを持って、子供と遊びに外出したのですが、防塵防滴のレンズでしたので安心できました。

僕の子供撮影用のレンズは、EF35mm F1.4L II USMとEF50mm F1.2L USMです。

それぞれレビューを書いていますので、よろしければご覧ください。

EF35mm F1.4L II USMのレビュー記事

EF50mm F1.2L USMのレビュー記事

動かない人物撮影用レンズの選び方

動かない人物を撮影する場合、85mm以上の焦点距離のレンズで、開放F値が低いレンズがおすすめです。

焦点距離の説明でも触れましたが、焦点距離が長くなるほど(望遠になるほど)、ボケが大きくなります。さらにF値を下げることで、ボケ量を多くし、被写体を浮き上がらせることができます。

離れすぎても会話が出来ないので、焦点距離は85mm~200mmの間くらいが良いと思います。
85mm以上になってくると、手ぶれの影響が出てきます。人によっては、手ぶれ補正が付いているレンズが良いです。

・EF85mm F1.8 USM(防塵防滴なし)

・EF85mm F1.4L IS USM(防塵防滴あり)

・EF135mm F2L USM(防塵防滴なし)

運動会・スポーツ撮影用レンズの選び方

運動会やスポーツの撮影時には、被写体は前後に動く一方、撮影者は動けないことが予想されます。よって、望遠ズームレンズでないと撮影できない可能性があります。

被写体までの距離やどの程度アップで撮影したいかで、選ぶべき焦点距離は変わってきます。僕の経験としては、未就学児の運動会の場合、200mmあれば足りました。

・EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM(APS-C専用、防塵防滴なし)

・EF70-200mm F4L IS USM(防塵防滴あり)

小学校以降の運動会やサッカー、野球などは、少なくても400mmまではあった方が良いと思います。

・EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM(APS-C専用、防塵防滴なし)

・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(防塵防滴あり)

運動会やスポーツが屋内の場合は、開放F値が小さい方が有利です。動きをピタッと止めたい場合は、シャッタースピードを上げることが必要です。

ところが、屋内はカメラにとってはとても暗い場所です。そのため、シャッタースピードを上げるには、絞りを出来るだけ開ける(F値を小さくする)かISO感度を上げるしかありません。

ISO感度を上げると、画質が悪くなります。だから、F値を小さくすることでシャッタースピードを上げる方がおすすめです。

※望遠レンズの人物撮影への転用

望遠レンズを持っていると、人物撮影にも転用ができるメリットがあります。あえて被写体から離れて、撮影します。その目的は、大きなボケを作ることです。

望遠レンズの開放F値は小さくてもF2~F2.8程度なので、F1.4などに比べると1~2段分差があります。F値によるボケ量は大きくないですが、焦点距離によるボケ量が大きいため、トータルでは良くぼけます。

僕は運動会や室内イベントで撮影する目的でEF70-200mm F2.8L IS II USMを購入しました。でも、子供と公園に行く時にも持ち出したりしています。

・EF70-200mm F2.8L IS II USM(防塵防滴あり)

風景・建造物撮影用レンズの選び方

海や山などの広大な風景、旅行先の建造物などを撮影する場合は、広角レンズがおすすめです。広角レンズでないと、フレームに収まらない可能性があります。焦点距離は35mm以下のものが良いです。

風景などは、全体をキリっとシャープに撮影することが多いと思いますので、解像度が高いレンズの方が、写真の四隅まできれいです。

ぼかすことはあまりないと思いますので、開放F値を重視する必要性はあまりないと思います。

夜の街並みだったり、施設内で撮影する場合は、手ぶれ補正がついたものがおすすめです。三脚があれば手ぶれ補正が無くても良いですが、三脚禁止の場所もありますので注意が必要です。

・EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM(APS-C専用、防塵防滴なし)

・EF16-35mm F4L IS USM(防塵防滴あり)

焦点距離に迷ったら広角寄りがおすすめ

焦点距離は目の前のどの範囲を写真として切り取るかを決めるものですが、撮影後にトリミングをすることで調整が可能です。

例えば、被写体が少し小さめに写ってしまっても、トリミングをすれば拡大することができます。広角レンズを装着していて、もっと近づきたくても近づけない場合は、撮影後のトリミングで拡大が出来ます。

一方、望遠レンズを装着していて、それ以上離れることができないと、どうにもなりません。

このことから、焦点距離については望遠よりも広角の方が汎用性が高いと考えています

ただ、注意しないといけないのが、トリミングをすると画素数が少なくなります。大きいモニターで鑑賞したり、大きくプリントをする場合は、画素数が不足する可能性があります。

使用しているカメラの画素数によっても異なります。画素数が多い方が、トリミングには有利です。

まとめ

様々なケースを想定してレンズを紹介しました。レンズ選びは凝りだすと、大量に買うことになりかねません。レンズの本数が増えて、使用頻度が下がるとコスパが下がります。

どんどん追加でレンズを購入していくよりは、はじめから買い替えることを視野に入れておいて、その時々に応じて保有機材を入れ替えていく方が安上がりで、賢い選び方な気がします。

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