あなたは巷で言われている、認可保育園に関する情報を正しく理解していますか?
僕の子ども2人は世田谷区の認可保育園に通っています。
当然、保活をする中で、いろいろ情報収集しました。
でも、分かりにくい情報だったり、誤って認識してしまう情報がありました。
これらの情報は、情報収集の過程で正しい理解に修正されていきますが、はじめから適切に理解していればスムーズかと思います。
例えば、保活をする方の中には、少しでも有利に選考に臨むために、引っ越しを考えるかもしれません。
しかし、引っ越した後にはじめて正しい認識をしたらどうなるでしょうか?
引っ越しが無駄になる可能性があります。
引っ越しをするかどうかは別にしても、知っておくべき情報を早い段階で正しく認識することは、保育園に入園させるために非常に重要です。
そんな分かりにくい情報の一つとして、「待機児童数」を取り上げます。
「待機児童ゼロ達成」と報じられたり、「待機児童数日本一」などと言われますが、それらの情報を鵜吞みにすると、保活に失敗することになるかもしれません。
待機児童の定義
待機児童というと、漠然と「保育園に入りたくても入れなかった児童」と思いませんか?
保活をはじめたばかりの頃、僕はそう思っていました。
2016年度までの国の定義では、「保育園に入りたくても入れなかった児童」のうち、以下の場合は待機児童にカウントしない(しても、しなくても良い)としています。
- 保護者が育休中
子どもの預け先がなく、泣く泣く育休を延長した場合など - 特定の保育所を希望している
兄弟で同じ園に通わすことができなかったり、遠くの園には通いたくないなどの理由で待機している場合 - 保護者が求職活動を休止している場合
本当は働きたいから求職活動をしたいが、子どもの預け先がないために、求職活動ができない場合 - 自治体が補助する保育サービスを利用している場合
認可外保育園を利用している場合など
2017年度からは、上記の「保護者が育休中」を待機児童に含めるように求めています。つまり、親が保育所に入所できれば仕事復帰したいと考える場合は、待機児童になるということです。
ただ、2017年度については、待機児童に含めるよう「求める」ということですので、含めない自治体もあるかと思います。
自治体間における待機児童の定義の違い
待機児童の国の定義は上述の通りですが、自治体ごとに待機児童の範囲が異なります。
例えば、東京都の世田谷区と目黒区を例に挙げます。
世田谷区の待機児童定義
保育の必要性の認定がされ、認可保育園等の入園申込をしているが利用していない児童で、以下に該当しないものをいいます。
(1) 保育園、認定こども園、地域型保育事業、保育室、保育ママ、認証保育所、定期利用保育、企業主導型保育、幼稚園の預かり保育、無認可保育施設(保育料補助申請者に限る)を利用している。 (2) 自宅から通うことができる範囲に利用可能な保育園、認定こども園、地域型保育事業、保育室、保育ママ、認証保育所、定期利用保育、幼稚園の預かり保育があるが、利用していない。 (3) 保護者が求職活動を休止していることが確認できる場合。 ※世田谷区では、保護者が育児休業中の方も待機児童に含めています。
(世田谷区のホームページより抜粋)
この中でポイントは、
「(3)保護者が求職活動を休止していることが確認できる場合。」
「保護者が育児休業中の方も待機児童に含めています。」
です。
(3)によって、世田谷区では、保護者が自宅で求職中の場合は待機児童に含まれています。
国は待機児童から除外しても良いとしているにも関わらず、世田谷区では含めています。
また、「保護者が育児休業中の方も待機児童に含めています。」については、以前から含めていたということがポイントです。
このように、待機児童としてカウントする対象が、国よりも世田谷区の基準の方が広く、待機児童数が数字上増えやすくなっています。
目黒区の待機児童の定義
具体的に定義という記載はありませんでしたが、待機児童数の推移を示す表(後述)にて、直近は「国の保育所等入所待機児童数の定義に基づいて集計した」と記載がありました。
「保育園に入りたくても入れなかった児童」のうち、2016年までは「保護者が育休中」を含めませんでしたが、2017年から含めています。
それでも、「親が自宅で求職中の場合は、待機児童に含まれる」とする世田谷区と比べると、待機児童の範囲が狭いです。
本当の待機児童数は公表されているよりも多い
待機児童の定義が違う、もしくは定義が変わることにより、待機児童数にも大きな差異がでます。
世田谷区の待機児童数
※世田谷区のHPより抜粋
2013年(平成25年)から2017年(平成29年)までの待機児童数です。
世田谷区については、もともと待機児童数を厳格にカウントしてきました。
直近の2017年は861名となっています。
前年の2016年と比較して、337名減少(28.1%減少)となっています。
待機児童数の減少は、かなり積極的に待機児童削減に取り組んでいる証拠だと考えられます。
目黒区の待機児童数
※目黒区のHPより抜粋
世田谷区と同じく、2013年(平成25年)から2017年(平成29年)までの待機児童数です。
注目すべきは直近2017年の待機児童数が617名となっており、2016年から318名増加(約2倍)となっていることです。
表の直下の注記に、国の待機児童数の定義が変わったことに合わせ、区の待機児童数のカウントも変更していると記載しています。
これはつまり、保護者が育休中の待機児童(保育園に入れなかったので、仕方なく育休を取得)を待機児童に含めた結果、2倍になったということです。
待機児童の状況は「人数」ではなく「割合」が重要
例えば、2つの小学校で、同じテストで0点を取った人を数えるとしましょう。
A小学校:100人中、20人が0点
→20%の人が0点
B小学校:10人中、5人が0点
→50%の人が0点
この結果から、優秀ではない方は小学校Bになりますよね。
0点の絶対数ではA小学校の方が多いですが、母数も圧倒的に多いため、割合でないと比較ができません。
待機児童のニュース報道に置き換えると、上の例で言うと20人や5人にしか言及がないことがほとんどです。
しかも、点数の付け方が全然違うのに、その違いについて言及がありません。
では、先ほどの世田谷区と目黒区について、割合で見るとどうでしょうか。
両区に共通して開示されている、2017年の待機児童数と保育施設の定員数(認証保育園や小規模施設等を含む)で見ていきます。
待機児童数は世田谷区が861名、目黒区が617名でした。
保育施設の定員数(両区のHPより)は、世田谷区が17882名、目黒区が4964名です。
そして、保育施設の定員数に対する待機児童数の割合は、
世田谷区が4.8%、目黒区が12.4%です。
つまり、待機児童の「状況」を適切に勘案すると、世田谷区で保活をする方が、やりやすいと言えます。
しかも、目黒区の待機児童の範囲の方が狭いので、実態としてはこの差はもっと大きいはずです。
まとめ
一番最初に「待機児童ゼロ」を達成したとして、数年前に横浜市が大きくメディアで取り上げられていました。
でも、実際には待機児童がいました。
今回は例として世田谷区と目黒区を挙げましたが、このような大きな差異はどの自治体であっても起こりえます。
入園申込みを検討されている自治体が、待機児童をどのように定義しているか、まずは是非確認することをおすすめします。
※参考記事
・世田谷区 認可保育園 2018年4月入園 申込受付開始。0歳、1歳が入園できる点数。
・認可保育園に入りたい人が誰でもできる!点数アップの最終手段。
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