スマホやコンデジしか使ったことがないと、「一眼レフカメラ」と聞くだけで難しそうに感じませんか?
または、一眼レフを買ったけど、撮り方が分からないという人も多いのではないでしょうか。
僕も初心者の時は、撮り方がよくわかりませんでした。(永遠の初心者ですが・・・)
一眼レフの場合、カメラ任せのオート撮影でも、十分きれいな写真は撮れます。でも、使っているうちに「〇〇な写真が撮りたい!でも、撮り方が分からない・・・」という時がきっと来ます。
初心者が一眼レフの撮り方が分からない理由は、一眼レフには様々なダイヤルやボタンがあり、設定が複雑だと感じるためだと思います。
でも、初心者が知っておくべきことは、あまりないんです。基礎となる設定や考え方を少し覚えれば、あとは慣れるだけです。
この記事では、イメージする写真の撮り方について、一眼レフの初心者が最低限知っておくべき知識とともに紹介します。例えば、F値、シャッタースピード、ISO感度、絞り優先、シャッタースピード優先などの語句の意味や関連性を説明します。
露出と適正露出
露出は撮れる写真や動画の明るさです。実際に目で見たのと同じ明るさを適正露出といいます。
この適正露出よりも明るい状態を露出オーバー、暗い状態を露出アンダーと言ったりします。
言い換えると、撮影後の画像を見て、「撮りたいイメージより明るすぎる」と感じれば露出オーバー、「撮りたいイメージよりも暗すぎる」と感じれば露出アンダーと言っても良いでしょう。
この露出(明るさ)は、3つの要素によって決定されます。3つの要素とは、絞り(F値)、シャッタースピード(SS)、ISO感度です。
以下で順を追って説明します。
初心者でも必須。絞り(F値)、シャッタースピード(SS)、ISO感度の意味
撮影者 または 自動的にカメラが、この3つの要素を組み合わせて、露出(明るさ)をコントロールします。
そのコントロール方法を撮影モード(絞り優先 等)で決めることになりますが、まず3つの要素の意味を理解する必要があります。
絞り(F値)
絞りとは、光がレンズを通る時の、通り道の大きさです。
絞りを開くと、光の通り道が大きくなり、たくさんの光がセンサーに届きます。
逆に、絞りを閉じるほど、センサーに入る光が少なくなります。
人間も細目にするより、目を見開いた方がまぶしいですよね。
人間の目の相当するのが、カメラのセンサーです。
絞りの状態(開いている or 閉じている)は、F値という数値で表されます。
F値は、F1.4、F2.0、F2.8、F4、F5.6、F8、F11などと表されます。
数値が小さいほど絞りが開いて、センサーに届く光の量が大きくなります。
F値の範囲は、レンズによって異なります。
特にF値をF2.8より小さく設定できるレンズは、単焦点レンズと言われるズームができないレンズが大多数です。
シャッタースピード(SS)
シャッタースピード(SS)とは、シャッターが開いてから閉じるまでの時間です。
言い換えると、光の通り道が開いている時間であり、センサーに光が当たっている時間です。
あなたが太陽を1秒間見た時、5秒間見た時では、どちらがまぶしいでしょうか。
当然、長い時間である5秒間の方がまぶしい、つまりたくさん目に光が入ります。
カメラの場合も、シャッターが開いている時間が長い方が、センサーにたくさんの光が届きます。
シャッタースピード(SS)は1/60、1/125、1/250、1/500、1/1000、1/2000、1/4000、1/8000などと表されます。これは「秒」を表しています。
通常の撮影においては、1秒よりも速い速度でシャッターを切ることがほとんどです。
分母の数値が小さいほどシャッターが開いている時間が長いため、センサーに届く光の量が大きくなります。
シャッタースピード(SS)の範囲は、カメラのスペックによって異なります。
入門機種の場合は1/4000まで、上位機種から1/8000まで対応していることが多いです。
ISO感度
ISO感度は、入ってきた光の情報に対するセンサーの感度です。
人間に例えるならば、光をまぶしく感じるための薬を投与すると考えてみてください。
カメラの場合は、撮影者が自由自在に感度を変えることができます。
ISO感度は100、200、400、800、1600、3200、6400、12800、25600などと表されます。
この数値が大きい程、センサーがより強く光を感じ取ることができます。
これにより、センサーに届く光の量が大きくなることと同じ効果となります。
ただし、数値を上げるということは、センサーに無理をさせている状態ですので、画質が悪くなるという副作用があります。
人間も薬を投与し過ぎると体に悪いのと似ています。
そのため、基本的にはISO感度は低く設定する方が良いです。
ISO感度の範囲は、カメラのスペックによって異なります。
これは上位機種というよりは、より最新の機種の方が上限値が高い傾向があります。
イメージを写真にする撮り方。撮影モードの種類・内容
撮影モードとは、「露出+表現」を決める方法です。
露出:明るさ
表現:ぼけ具合、ぶれ具合
この露出と表現について、撮影者が決めるか、自動的にカメラが決めるか。
それによって、主に以下の撮影モードがあります。
■撮影モード別 撮影設定・撮影結果の決定主体
撮影モード | 撮影設定 | 撮影結果 | |||
F値 | SS | ISO | 露出 | 表現 | |
プログラムAE | カメラ | カメラ | 撮影者 | カメラ | カメラ |
絞り優先AE | 撮影者 | カメラ | 撮影者 | カメラ | 撮影者 |
シャッター スピード優先AE |
カメラ | 撮影者 | 撮影者 | カメラ | 撮影者 |
マニュアル露出 | 撮影者 | 撮影者 | 撮影者 | 撮影者 | 撮影者 |
※AE:Auto Exposure(自動露出)
以下で各撮影モードの目的や注意点を見ていきましょう。
プログラムAE
プログラムAEは、ISO感度以外を全てカメラ任せにする撮影モードです。
ISO感度をオートにすれば、全てカメラ任せで露出が決定されます。
ISO感度を自分で設定した場合、カメラが自動的に絞りとシャッタースピードを動かし、適正露出にします。
カメラによっては、一定の操作条件を満たす場合は、絞りやシャッタースピードを撮影者が決められる場合があります。
「どのように設定したら良いかわからない」
「設定するのがが面倒くさい」
このような方は、プログラムAEをおすすめします。
ただし、プログラムAEでは一眼レフカメラを使う醍醐味がないです。
使っているうちに、自分のイメージ通りに撮影することが難しくなる可能性もあります。
プログラムAEに慣れてきたら、どんどん別の撮影モードに挑戦することをおすすめします。
絞り優先AE
■特徴
絞り優先AEは、絞り(F値)とISO感度を自分で設定する撮影モードです。
絞り優先AEの一番大きな特徴は、被写体前後のぼけをコントロールできることです。
F値を小さくするほど、被写体前後のぼけが大きくなります。
被写体を浮き上がらせたい時や背景を整理したい時に有効です。
F値を大きくするほど、被写体前後のぼけが無くなり、くっきり写ります。
風景写真なんかは、F値を上げてくっきり写す方が良いかもしれません。
■注意点
絞り優先AEは、カメラが適正露出にする時も、撮影者が露出補正する時も、カメラが自動的にシャッタースピードを変更します。
もし、背景をくっきり写したいために、F値を大きくしたとします。
上述の絞りについて説明した通り、F値が大きいということは、光の通り道が狭くなるため、センサーに届く光の量が減ります。
そのままだと、適正露出 または 露出補正した結果よりも露出アンダー(暗く)になってしましますので、カメラが自動的にシャッタースピードを調整します。
シャッタースピードの説明で触れましたが、シャッタースピードは遅いほど、たくさんの光がセンサーに届きます。
F値を大きく(光を少く)した分、カメラが自動的にシャッタースピードを遅く(光を多く)します。
シャッタースピードが遅いと、被写体が動いた時や撮影者の手元が動いた時、写真がぶれます。
絞り優先AEでは、自動的にシャッタースピード(SS)が変動していて、撮影者の意図と関係なく、「ぶれ表現」に影響が出ることがあるので、注意が必要です。
シャッタースピード優先AE
■特徴
シャッタースピード優先AEは、シャッタースピード(SS)とISO感度を自分で設定する撮影モードです。
シャッタースピード優先AEの一番大きな特徴は、被写体や被写体前後のぶれをコントロールできることです。
SSを速くするほど、ぶれが小さくなります。
例えば、マラソンランナーを撮影する場合、ぶれなくピタッと止めた写真を撮影したい場合に有効です。
SSを遅くするほど、ぶれが大きくなります。
マラソンランナーの例であれば、手や脚がぶれて撮影できることで、動いている感じを表現できます。
■注意点
シャッタースピード優先AEは、カメラが適正露出にする時も、撮影者が露出補正する時も、カメラが自動的に絞り(F値)を変更します。
もし、ぶれが全くない写真を撮るために、シャッタースピードを速くしたとします。
シャッタースピードが速いと、光の通り道が開いている時間が短いために、センサーに届く光の量が減ります。
そのままだと、適正露出 または 露出補正した結果よりも露出アンダー(暗く)なってしまします。
SSを速く(光を少く)した分、カメラが自動的にF値を小さく(光を多く)します。
F値が小さいと、被写体前後のぼけが大きくなります。
シャッタースピード優先AEでは、自動的に絞り(F値)が変動していて、撮影者の意図と関係なくぼけ表現に影響が出ることがあるので、注意が必要です。
マニュアル露出
■特徴
マニュアル露出は、絞り(F値)、シャッタースピード(SS)、ISO感度の全てを自分で設定する撮影モードです。
「ぼけ表現」も「ぶれ表現」も両方コントロールできます。
絞り優先AEの説明で、「背景をくっきり写したいために、F値を大きくする」例がありました。
この場合、
「F値を大きくする⇒カメラが自動でSSを遅くする⇒撮影意図に反してぶれる」
という可能性がありました。
同じ場面でマニュアル露出にした場合、F値とSSを自分で設定できるので、カメラが自動的に変えてしまうことはありません。
■注意点
マニュアル露出の場合は、全て撮影者が設定する必要があります。
上の例で同じ露出(明るさ)を保つことを前提とした場合、F値を大きくした分、光の量が少なくなっているので、ISO感度を上げる(=光の量を増やす)必要があります。
このように、露出(明るさ)を一定にしながら「ぼけ表現」や「ぶれ表現」を変える場合、絞り(F値)、シャッタースピード(SS)、ISO感度のうち、2つを動かす必要があります。
他の撮り方(プログラムAE、絞り優先AE、シャッタースピード優先AE)に比べて、設定に少し手間がかかります。
まとめ
露出(明るさ)を変えないことを前提にした場合、「こっちが立てば、あっちが立たず」というのが、F値、シャッタースピード、ISO感度の関係です。
それらのコントロールする方法に複数の撮影モードがあるという話でした。
完全なオート撮影から卒業したい場合は、まずは絞り優先AEを覚えることをおすすめします。
僕の撮影対象はほぼ子供ですが、ぼけを利用すると柔らかい感じに撮影できます。
自分のお気に入りや得意な撮影スタイルが見つかると良いですね!
コメント